CBDとは

What's "CBD"

CBDについて皆様はどの様なイメージをお持ちでしょうか?

CANLIFEでは皆様から多く寄せられる疑問や不明点を踏まえ、昭和大学薬学部教授 薬学博士・薬剤師の佐藤 均先生にお話を伺いました。

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佐藤 均

昭和大学薬学部教授 薬学博士・薬剤師

1959 年生まれ。
東京大学薬学系研究科(製剤学教室)修士課程修了後、金沢大学薬学部助手、富山医科薬科大学付属病院薬剤部助手、アメリカ国立衛生研究所(NIH)・がん研究所(NCI)奨励研究員、スイス・バーゼル研究所客員研究員を経て、東京大学医学部助教授となる。2000 年から昭和大学薬学部教授(薬物動態学研究室)。
書籍「カンナビノイドの科学」監修

Q.HEMPから抽出されるCBDとはどのようなものでしょうか?

大麻に含まれる生理活性物質カンナビノイドの一種です。

大麻草には100種類以上のカンナビノイドが含まれており、中でも有名なものにTHCとCBDがあります。
THCは陶酔感やハイになるなどの精神活性作用があり日本では禁止薬物として法律で規制されている成分です。

THCを含まない大麻の品種を特にHEMP(ヘンプ)と呼んでいます。
日本では大麻取締法がありますから、成熟した茎と種から抽出されたCBDでないと輸入及び販売はできません。

逆にCBDは適切に摂取すればWHOでも認めれた成分です。
THCと違い精神活性作用がありません。当然、陶酔感も無ければハイな気分になることもありません。

Q.CBDの働きとは?

CBDについては現在、抗炎症や、自律神経の調整、抗不安、抗てんかん、制吐抑制、その他数多くの文献があります。

CBDの作用メカニズムについては複数種類あり、その一つに内因性カンナビノイドシステム(エンドカンナビノイドシステム)があります。エンドカンナビノイドシステムは人だけでなく、脊索動物のホヤ類、脊椎動物の魚類、両生類、爬虫類、鳥類のすべてに存在していて、生きていくのに必要不可欠なシステムとして形成されたと考えられています。 
CB1、CB2というカンナビノイド受容体が身体中のあらゆる場所に存在していて細胞間コミュニケーションの正常化に関わっています。

人は強いストレスを受けたり老化が進むと、カンナビノイド欠乏症となり、様々な不調が表れるといわれています。CBDは不足したカンナビノイドを補い、エンドカンナビノイドシステムを整えることにより、症状の軽減に役立ちます。

またCBDはエンドカンナビノイドシステムを整えるだけでなく、セロトニン受容体や、PPARγ受容体、TRPV1チャネル等に作用する事が解明され、製薬業界もその働きに注目している成分です。
免疫や神経伝達、自律神経などの恒常性を維持する作用が高いといえます。
高すぎるものは下げる、低すぎるものは上げる、というように、体内のバランスを調整する働きがあります。
特に抗炎症作用は強力です。

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Q.CBDの注意点はありますか?

他の薬物との併用の際、CBDには薬物代謝酵素を阻害する働きがある為、併用薬物の血中濃度が上がり、効果が強く作用すると共に副作用も発現することがあります。
CBDは薬物摂取の2時間後に飲むなど摂取時間をずらすと良いでしょう。
薬物を常用している方は、医師に相談してください。

1日の標準摂取量は、20〜200mgと、範囲が広いです。
1日摂取量の上限の目安は、体重1㎏あたり4mg程度で、例えば体重50kgでしたら200mgまでにとどめて下さい。
摂取過剰で効果が減弱することが多いです。
最近ではCBDのマイクロドーズ(少量摂取)の意義がわかってきました。

Q.CBDはどの様な方におすすめですか?

まず交感神経と副交感神経のバランスを整えるので睡眠でお困りの方にはおすすめですね。
神経の高ぶりを鎮めることによって自然な眠りへ導きます。

また、頻尿を抑える働きが認められているので、夜中にトイレで目が覚めることで睡眠が妨げられてしまうような方にもおすすめですね。
慢性疼痛にも優れた効果を発揮します。
慢性的に痛みのある方は少量から始めて少しずつ増加していくことをおすすめします。

Q.日本で最近なぜCBDが話題なのでしょうか?

社会的な背景にマッチしているのか、市場が広がってきていますね。
食品としても様々な優れた効果が得られますし、皮膚に塗布することでも効果が得られます。

最近、大手エステ企業もCBDのトリートメントコースを作り大変な話題のようです。
抗炎症効果が非常に強く、脂溶性で分子量も小さく経皮吸収もしやすいため、リラクゼーション効果が得られるのではないでしょうか。

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安全なCBD製品を見極めるには分析レポートの精査が重要と語る佐藤先生

Q.今後、日本でCBDはどのように使用されるべきでしょうか?

CBDの良い面だけを見るのではなく、リスクを知った上で正しく使用することを望みます。

経口摂取する場合は、まずは少ない量(10mg~20mg)からはじめて効果をみながら摂取量を調整しましょう。
途中で効果が体感できなくなったら、一度停止して血中濃度を下げ、数日後に再開してみてください。
正しい摂取方法を心がければ、健やかな生活に役立つ食品です。

しかし、不適切な摂取方法で健康被害が起こると、またそこで捻じれた情報が広まります。
特に摂取過剰になると肝機能障害や易感染状態になることもあります。
どんな食品やサプリメントも摂りすぎは良くないです。
情報は極端に走りやすく、結果的にCBD全体が悪いという風潮が広まることで、規制対象になる可能性もありますから。

薬ではなく、食品でここまでメリットが得られるものにはなかなか出会えないのではないでしょうか。

Q.CBD自体、油にしか溶けない性質のため今まで用途が限られてました。
 今後CBDを水溶性化できたら、どのような用途が考えられますか?

水性化できれば用途が大幅に広がります。

例えば飲料水の他にマウスウォッシュや石鹸、化粧品など、原料が水に溶ければあらゆるものに応用が可能です。
また水溶化ナノエマルジョンなどの加工がされているCBDは吸収速度が3~4倍ほど上がります。

市場の様々なニーズに合致したものが出来るのではないでしょうか?

Q.CANLIFEはHEMPをバイオマス資源と捉えています。
 それについては如何でしょう?

問題ないと思います。
THCを含まない産業用HEMPは世界的に大きな注目を集めています。
何故ならHEMPからCBDや他のカンナビノイド、テルペン等を抽出した際に必ず残渣がでます。
その残渣を利用してバイオマスチップやエネルギーに転換が可能だからです。

HEMPは健康部門からバイオマスまで余すことなく活用できます。
究極のSDGs素材ではないでしょうか?

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